ご挨拶
代表理事
米川恵子
2024年、我が国は「注目度の高い論文数」の世界ランキングで、過去最低の13位に位置付けられました。21世紀初頭は4位でしたが、年々順位が後退しているのが現実で、近年の日本の科学技術力低下は危機的状況と言われています。改善の道のりには課題が山積しています。
当財団は、小規模ではありますが、1982年の設立以来、毎年免疫学の研究、及び研究会開催の助成を行って参りました。2012年には従来の活動に加え、神経科学分野の助成も開始し、清水免疫学・神経科学振興財団として新たなスタートを切りました。
歴史は、すぐに成果を見込めない重要な研究はたくさんあると語っています。これに基づいて、当財団の目標は、地道に支援を継続していくことです。そのために私達は常に出来る限りの努力を重ねております。しかしながら、率直に申し上げますと、資金やリソースが充分に備わっているわけではございません。今後も私達の活動を続けていくために、引き続き関係者の皆様のご助力を仰ぎたく存じます。
当財団の設立者、清水敏は、1980年頃から世間ではまだまだ注目度の低かった免疫学と老年医学に強い関心を示し、常に一歩先を見ておりました。実際、財団設立当時は、免疫学は極めて地味な存在でしたが、今やCAR-T細胞療法や免疫チェックポイント阻害薬を初め、免疫学の発展は医学に大きな革命をもたらしました。
この度、清水敏の孫である私が代表理事を務めさせていただく運びとなりました。遠く離れたスイスに住むようになって数十年経ちますが、母国である日本、故郷である京都を想う気持ちは何ら変わっておりません。パンデミックや技術の発展によってこれまでの常識が覆され、リモートでも様々な業務が可能となったことを好機と捉え、この任務に就く決意を固めました。財団設立者の「一歩先を見る姿勢」を常に心に留め、財団の理事、評議員、そして監事の先生方のご指導をいただきながら、健全な財団運営に努めて参る所存でございます。今後とも、皆様方のご助力、ご鞭撻をどうかよろしくお願い申し上げます。
2024年10月吉日
一般財団法人 清水免疫学・神経科学振興財団
代表理事 米川恵子
代表理事
坂口志文
財団法人清水免疫学神経科学振興財団は、免疫学、神経科学の基礎、臨床研究を助成し学術の振興に寄与してきました。前身の清水免疫学振興財団は1982年に設立され、主として免疫学の基礎研究を支援してきましたが2012年に神経科学研究にも助成の幅を広げて現在に至っています。この間、多くの研究者、特に若手研究者による独自性の高い研究への支援、そして、小規模であっても面白い学術集会の開催を援助してきました。この40年、支援した時点ではまだ萌芽的であった研究が大きく発展し、また同好会のような小さな研究集会が、国際学会を定期的に開催するまでに成長してきたのを見ますと、その発展、成長に寄与できたことを財団として嬉しく誇りに思います。免疫学、神経科学は学術的に重要なばかりでなく、医療に直接結びつく学問分野です。最近の新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)は社会を大きく揺るがしました。高齢化社会になり、アルツハイマー病などの慢性神経疾患に対して強い社会的関心が寄せられています。しかしながら、現代医学は、どのような感染症に対しても効果的な予防、迅速な治療を施せるまでには至っていません。アルツハイマー病に対する効果的な治療法を確立するには程遠い段階です。その一方で、免疫科学、神経科学は近年著しい進歩を見せています。ヒトの免疫疾患、神経疾患の克服に向けて、本財団による研究助成をより意義あるものにすべく努力して参ります。本財団が、従来にも増して免疫科学、神経科学研究の発展に貢献できますよう関係各位のご援助、ご鞭撻をお願い申し上げます。
2024年10月吉日
一般財団法人 清水免疫学・神経科学振興財団
代表理事 坂口志文
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